国際『馬』交流展

【モンゴル】

(2002年2月)

 日本とモンゴルの外交関係が樹立して30年になる。それを記念して、2002年2月15日に「日本・モンゴル外交関係樹立30周年」の切手が発行された。切手のデザインはハス(永遠の意味)と呼ばれる伝統文様を背景に、棹の頭部に馬の頭の彫刻が施され、形が三味線に似たモンゴルの民族楽器である擦弦楽器「馬頭琴」が描かれている。
 「馬頭琴」は、日本の小学校の教科書にも載っているの「スーホの白い馬(文;大塚勇三氏、絵;赤羽末吉氏)」でも広く知られている。

 ところで、日本で発行されたモンゴルに因む馬切手はもうひとつある。それは中国占領地切手である。 1937年以降、日本軍は中国大陸の広い地域を占領した。郵便事業は、当初は中華郵政が実務を行い、現地の切手が使われたが、地域によって貨幣価値に差が出たことなどから、従来の切手に地域名を加刷した切手が発行され、1943年以降は新規の正刷切手が発行されることになる。
 1944年には蒙彊地区の切手として、「蒙古政府成立5年記念」2種が発行され、そのひとつに「奔馬図」と題する馬切手があった。

 中央アジアの遊牧民の生活は五畜(馬、牛、羊、駱駝、山羊)と共にある。なかでも馬は遊牧騎馬民族を象徴する特別な意味を持ち続けている。モンゴルでは馬は人や荷物を運び、その乳は馬乳酒(特有の香があり、糖度が高く、アルコール度は2~3度程度)などの乳製品に、糞は燃料に、毛からは敷物や馬頭琴の弓や弦が作り出される。
 馬は自然に近い群のまま放牧されているが、争いが起こらないよう種牡馬以外の牡馬は去勢されている。

 モンゴルの馬はモンゴリアン・ポニーという小柄な馬である。見渡す限りの大草原のなかを騎馬トレッキングし、代表的な住居である「ゲル」に宿泊するツアーも人気を博している。

            

 [馬切手]


「日本・モンゴル外交関係樹立30周年」記念切手のデザイン
蒙古政府成立5年記念切手
「蒙古政府成立5年」記念切手のひとつ「奔馬図」